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パニック障害
サロンに泣きに来る方、多くはありませんが時々いらっしゃいます。
あらかじめ雰囲気で分かる時は、佐藤はお休みをしてもらって私一人でお会いするようにしています。
失恋、ご病気、離婚・・・今回のお客様は、パニック障害で会社に行けなくなった方でした(特定を避けるために、今日ではなく少し前のお話です)。
「なんでか久保さんなら聞いてくれる気がして。ごめんなさい。」と。
多分ですが、話せると感じるのは私もパニック障害をやったことがあるからだと思います。
お客様がそれを感じ取られたのかも。
自分の弱さを前面に出すのが苦手なので語ったことはほとんどありませんが、過去に心が弱った経験があります。
経験があると言っても、自覚はなかったんです。
治ってから、自分がパニック障害だったと知りました。
旦那さんが単身赴任の時。
ある日突然に「今、何か起きたら誰も助けてくれない。どうしよう」という不安感が消えなくなりました。
一人暮らしの気楽さを楽しんでいたはずなのに、です。
毎週末、名古屋へ向かう新幹線が怖くて仕方ありませんでした。「次の駅までに体調が壊れたらどうしよう」って考えちゃうんです。
大好きなドライブに出ても、今何かあったらと思うと息苦しくなりました。
美容院では座っていられないので、カラーをする時間のかかる回は心臓バクバクでした。
お風呂やトイレは、ドアが閉められず。
私、当時は心臓か脳の病気と思っていたんですよね。
なので、総合病院に行きまくっていました。
「先生、動悸がするんです」「先生、息苦しくなるんです」検査結果は毎回異状なし。
ある日、先生が過去のカルテを見て「君が次にいくところはね、心療内科だよ。行きたい?」
私って心の病気だったんですか?と驚いて、なら自分で治せるかもと対処法を考えました。
新幹線では漫画を大量に持ち込み、読んでいるうちに着けるようにしました。小説は想像するからだめ、考えない漫画が良かったんです。
ドライブでは、水を飲みながら運転すると落ち着くと気づきました。
様々な対処法を見つけましたが、決定打は自分への自信を取り戻すことでした。
お風呂だけは・・今でもドアを閉めるの苦手です。これは多分怖がり。
対処法を見つけてどのくらいだったかな、落ち着いたのを自覚しました。
数年後「本当に治ったのかな。結局あれはなんだったんだろう」と気になって心療内科に行ってみました。
「多分その時はパニック障害ね。もう治っています。よく自分で治したね」と先生。
エステティシャンに多いとは聞いていましたが、私が!?とびっくりでした。
あれから10年くらいたつでしょうか。
当時はショックでしたが、振りかえればとても良い経験でした。
エステティシャン仲間や、今回のようにお客様が参っている時に、辛い気持ちに寄り添えるようになりました。
他人の辛さに敏感になれました。
考え方一つで世界は180度変わるというのを体感しました。
身心が元気であることを考えるきっかけになりました。
このコラムを書いていたら、別のお客様からメール。
いつものタイミングでご来店がないのが気になっていたのですが、ちょっと心が疲れてしまっている、気力が沸かないというご連絡でした。
そのような状況の中で、お伝えいただけて嬉しかったです。
そして、辛さを知らず元気いっぱいなだけの私だったら、頑張れコールでお客様を追い詰めていたかも。
自分の心が疲れた経験は、やっぱり良い経験だったと思います。
美って総合力です。
直接的な肌のケアも大切ですが、心のフォローも必要です。
エステティシャンの役割は大きく、とても尊敬できる職業だと思います。
私が理想とするエステティシャン像になるには、お客様を受け止めるにはもっといろいろ経験し、深い人間にならなくちゃです。
まだまだです。